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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme

Aozora Bunko

三

ていた。

しかも、その半分が、肥えふくれた一族の者とか、物の役に立たない老吏や女子供だった。

三

時は、大暑の六月なのでその困苦はひとかたでなかった。

炎天に焦りつけられて、

「もう一歩もあるけぬ」と訴える老人もある――。

「水がほしい。水をくれいッ」と、絶叫しながら息をひきとってしまう病人や傷負もある。

落人の人数は、十里行けば十人減り、五十里行けば五十人も減っていった。

「歩けぬ者はぜひもない。傷負や病人も捨てて行け。まごまごしていれば玄徳の追手に追いつかれよう」

袁術は一族の老幼や、日頃の部下も惜しげなく捨てて逃げた。

だが幾日か落ちて行くうち、携えていた兵糧もなくなってしまった。袁術は麦の摺屑を喰って三日もしのんだがもうそれすらなかった。

餓死するもの数知れぬ有様である。あげくの果て、着ている物まで野盗に襲われてはぎ取られてしまい、よろ這う如く十幾日かを逃げあるいていたが、顧みるといつか自分のそばには、もう甥の袁胤ひとりしか残っていなかった。

「あれに一軒の農家が見えます。あれまでご辛抱なさいまし」

もう気息奄々としている袁術の手を肩にかけながら、甥の袁胤は炎天の下を懸命にあるいていた。