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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme

Aozora Bunko

火か人か

一

「昨夜の会に、百官みな宴に揃いながら、国舅ひとりお顔が見えん。いかなるわけでご不参だったか」

「されば、昨年からの痼疾の病のため、心ならずも」

「はははは。卿の痼疾の病は、吉平に毒を盛らせたら癒えるものであろう」

「げッ。……な、なんのお戯れをば」

董承は、震い恐れた。

語尾はかすれて、歯の根もあわない。曹操はその態を白眼に見て、

「近ごろも、太医吉平と、お会いあるか」

「い、いえ、久しく会いませぬが……」

従えてきた武士へ向って、あの者をここへ連れてこいと命じた。言下に、三十余名の獄吏と兵は、客堂の階下へ、物々しく吉平をひきすえた。

蹌踉とよろめいてきた吉平は、幽鬼のごとく、ぺたとそれへ坐ったが、しかも烈しい眼光と呼吸をもって、

「天をあざむく逆子、いつか天罰をうけずに済もうか。これ以上、わしを拷問して何を得るところがある」と、彼のほうから叫んだ。

曹操は、耳にもかけず、

「王子服、呉子蘭、呉碩、輯の四人はすでに捕えて獄に下したが、そのほかにまだもう一名、不逞の首魁が、この都のうちにおるらしい。……国舅、あなたにもお心当りはないかな?」

「…………」

董承は生ける心地もなく、ただあわてて顔を横に振った。