Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

陛下ということばを聞くと、董承の瞼は涙をためてくる。眦から枕の布へしばし流涕がやまなかった。

きょうばかりではない。帝の御名が出るといつも彼の眼があやしく曇る。吉平はかれの病根とそれを思いあわせて、独り何かうなずいていた。

およそ一箇月ばかりの後の正月十五日のことだった。こよいは上元の佳節というので、親族や知己朋友が集まっていた。董承も病室ではあるが、吉例として数献の酒をかたむけ、いつかとろとろと牀によって眠ってしまった。

…………

……と。彼を取りかこんで、口々に云い逸る人々がある。

(国舅国舅。かねてのこと、成就の時はきましたぞ。荊州の劉表、河北の袁紹とむすび、五十万の軍勢をおこす。また西涼の馬騰、并州の韓遂、徐州の玄徳なんども、各地から心をあわせて一せいに起ち、その兵七十万と聞えわたる。――曹操その故におどろきあわてて諸方へ討手をわかち、ために、洛内は今、まったく手薄となりました。相府、都市の警兵をあわせても、千人に足りますまい。――時しもこよいは上元の佳節、相府でも宴をひらいて乱酔しておること必定です。いでやすぐさまお越しあれ、一味のものは早、馬を寄せて、門前にお待ちもうしておりますぞ)