Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

三

に似た淫らの声々が、どこで奏しているのであろうか、異国めいた楽器の音色とともに、化物の国の夜遊じみた、調和をなして聞こえた。

将軍家治は仮面だけ外し、装束は解かず疲労したように、黒檀で出来ている寝台の上に、体を横たえ唸っていた。

三

家治は年四十九歳、中年ともいうべき年頃だのに、不摂生と放縦との生活が祟り、年よりずっと老けて見え、ほとんど老人のそれのようであった。鬢などには白毛が多く、眼の縁などにも小皺が多かった。

「田沼、わしはもう帰る。……わしは疲労れている。面白くもない。田沼、わしはもう帰る」

酔ってもいたが、そうでなくても、だだっ子のような口を利くのが、この人の日頃の癖であった。

「が、それともお浦をよこすか。……お浦をよこすならわしはいる。……宿まってもいい、お浦をよこせ」

どういうものか家治にとって、お浦は忘れ難い女なのであった。あらゆる高級の、あらゆる上流の、そういう女には飽きている彼、だから一種の悪食趣味として、また、いかもの食いとして、ああいう女に捉われたと、そういうことも云えるのではあったが、しかし一方お浦という女が、いかにも初心で純情で、彼が将軍家であるがゆえに、犠牲の心で仕えたという、そういう二義的の心からでなく、彼を本当に好いていて仕えた。