Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans
二
その一軒の廃屋の、簀子が形ばかりに敷いてある部屋に、範之丞とお吉とは坐っていた。
二
「お玉殿今日はお止めなされ。……私、心配でなりませぬ。……もしものことがありましたら……」
そう伊織の範之丞はいって、蒼ざめ痩せた頬のあたりへ、髷の乱れを幾筋かかけ、力のない眼に不安と哀憐と、恐怖との色を漂わせ、お玉のお吉を見詰めながらいった。
破三味線を膝の横へ置いて、所在なげに絃を指で撫すり、幽かな音色をたてながら、お吉はじっと俯向いていたが、
「参って門に立ちませねば……明日の糧さえ、いいえ今日の……今日の糧さえござりませぬ。……あなた様を一人留守にして、物騒な小諸の城下などへ、参りたくはないのでござりますが……背に腹はかえられず……」
そういってチラリと範之丞を見、その眼を反らすと戸外を見た。
破れ雨戸でビッシリ鎧われ、屋内は黄昏のように暗かったが、一枚だけが開いていて、明るい春の正午の陽があふれるようにみなぎっている、庭の景色が眺められた。
枯れ草が人の身長よりも高く、自然に生えて延びている。その向こうの小丘の脈が、土坡のように巡っている。それを越えた遙かのあなたの、うらうらと晴れた空を染めて、砂塵が高くあがっているのは、東長沢村、西長沢村、小沼村などを荒らし廻り、小諸城下へ押し寄せて行く、一揆の百姓や浪人などが