Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

二

「戸ヶ崎氏、冬次郎参った!」

二

大音に叫んだ松平冬次郎、

「外伝、新助、しっかり致せ! 冬次郎参ったぞ! 冬次郎参ったぞ!」

「殿様アーッ」

と新助の声が応じた。

「必死だ、殿様アーッ、早くそっちから!」

「織江殿は? 織江殿は?」

「駕籠の中だアーッ」と外伝の声だ。「見てやってくだせえー、駕籠の中だーッ」

刃音! 人の渦! 叫喚! 悲鳴!

「勘助」と冬次郎は刀を抜いた。

「そち駕籠へ! 織江殿の介抱!」

「あい」

勘助は駈け出した。

「汝ら!」

と真っ向に刀を振り冠り、冬次郎切り込もうとした一刹那、

「ままごとやろうヨーッ」

という若い女の、異様な叫び声がつい手近の、露路の一つから聞こえて来た。

「お浦だ! お浦の声だ! ままごと狂女の!」

思わず叫んだ冬次郎は、振り冠っていた刀を下ろし、声の来た方へ眼をやった。

乱闘の場の剣戟叫喚、そういうものに関わりなく、狂女特有の締りのない、洞然としたうつろの声で、しかし何かに憧憬れるように、

「ままごとやろうヨーッ」

とまた聞こえた。

(お浦だ! お浦だ! 捕えなければならない!)

由縁ある家の娘だったであろう、顔も姿も美しく、狂女になっても品さえあり、卑しいところがないのであるから。