Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

三

彼女は田沼の私生活の、余りにも恐ろしい毒にあてられ、発狂をした女なのである。

彼女を捕えて調べたら、田沼の生活の表裏の仔細、ことごとく知れるに相違ない。

――と感づいたのが冬次郎で、久しい前から苦心をして、お浦を捕え手に入れようとした。

出没自在の彼女であった。

捕えることが出来なかった。

それでも今年の一月十五日に、すんでのことで手に入れようとした。

ところが十二神貝十郎のために、邪魔をされて逃げられてしまった。

爾来行方の知れなかったお浦! それが今夜あらわれたのである。

三

(織江殿には戸ヶ崎その他が、ともかくも付いて警護している。まず大丈夫といっていい。……お浦を今夜逃がしては、いつふたたび逢えるかしれない。こっちの方を……)

と冬次郎は、咄嗟の裡に思案を定め、声の来た露路へ駈け込んだ。

ここも暗く闇であった。

が、闇ながらすぐ手前を、小走って行く人影が見られた。

「待て、お浦!」

と思わず呼んだ。

これが失敗の基であった。

声をかけられて驚いたらしい、狂女特有の小猿のような敏捷、それでお浦は走り出した。

(南無三、なろうか、逃がしてなろうか!)