Classiques japonais avec furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans
二
村数にして百二十三、人口にして三万五千人を、滅し亡ぼしてしまったのである。
冬次郎は主としてこの地方の、その後の様子を知ろうとして、こうして旅へ出て来たのであった。
二
信州諏訪の郡高島の城下(今日の上諏訪町)そこへ一行がついたのは、三月上旬のことであった。
脇本陣へ宿を取った。
その翌日の午後であったが、外伝と新助とは連れ立って、お城下見物に宿を出た。
「殿様とご一緒では窮屈でな」
「第一生物が食われねえ」
「その生物にもいろいろあるが」
「いうまでもねえ生きた貝さ」
「信濃で貝はおかしいぜ」
「諏訪にゃア名物の蜆があらあ」
「蛤じゃアねえのか蜆っ貝か」
「大と小との相違だけだア」
「大きな蜆っ貝目っけようぜ」
「日のあるうちから見つけてよ、夜になってから開かせるんだ」
「そこでこっちの肉ばなれってやつが……」
「当座助かろうっていうものさ」
戯口叩きながらぶらついた。
三万石のお城下である。大して繁華でもなかったが、でも時候は春であった。寒国ゆえに桜はまだ、梅があちこちに咲いていて、着飾った人々が出歩いていた。
風景ばかりは美しかった。
一方に蓼科、八ヶ岳の、山々が聳えているかと思うと、一方には今日の日本アルプスの、消ゆがに見える連峰が、まだ深々と雪をかつぎ、遠く淡く流れて見え、その前備えといったように、伊那の地へ越せる山脈