Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

名与力貝十郎

一

それを見すてて引っ返したらしい、

「駕籠やれ露路へ!」

と熊太郎の声が、もう駕籠脇から聞こえて来た。

人間業とも思われぬ、あまりに見事の戦い振りに、恐怖を感じた外伝、新助、ガタガタ躯を顫わせながら、

「ヤ、やれ」

「イ、いそげ」

またも露路へ駕籠を舁ぎ込み、足を早めて走ったが、南無三また空地へ出た。

と、暗中から叫ぶ声がした。

「戸ヶ崎先生おいでなさるか?」

錆びた、艶のない、底の深い、しかし何らかに自信を持った、中年の男の声であった。

「拙者、平戸九十郎でござる。……平戸九十郎と申すものでござる。……」

「…………」熊太郎はものいわず聞き澄ましていた。

「見事のお腕前ほとほと驚嘆……お噂以上と見申した……」

「…………」

「これ以上切り合いをいたしましても……我らの手の者斃れるばかりでござる。……不愍に存じ申すゆえ……拙者とご貴殿と一騎討ちいたし……幸いにして拙者勝たば、織江殿頂戴仕る。……」

「…………」

なお熊太郎は黙っていた。

「拙者討たれればもはやそれまで……」

この時熊太郎は数歩進んだ。

名与力貝十郎

一

織江を駕籠で送り出して、心寛いだ冬次郎は、居間にしている中央の建物の、利休好みの清楚の部屋で、一人しずかに茶を飲んでいた。