Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans
足に搦みつきやるまいと締める、そのお吉をドッと蹴り、
「わッ」
と悲鳴、なお追う奴を、提げた刀の鐺で脾腹を……
「キャッ」
「態あ……」
土間へ下りた。
「痛! ……痛々! ……ま、待って!」
脇腹を抑えてズルズルと、土間まで下りたお吉の眼の前へ、開けられた格子戸がピシャリと閉まり、小走って行く雪駄の音! ――
九十郎は行ってしまった。
お金もお由も裏口から、とうに帰ってしまったと見え、出て介抱をするものもなく、膏薬だらけの古畳、ところどころ肋骨を出している壁、高いところにたった一つだけ、明りとりの窓があって、そこから陽の光が射して来るばかりの、陰惨とした部屋の中には、お吉ばかりが呆然としていた。
(捨てられてしまった。一人になった)
夢のような気持ちがした。
(ナーニ)とお吉は不意に思った。(ああはいっても一時の短気、思い返して帰って来るよ)
長火鉢の前へベッタリと坐り、頤を寒そうに襟に埋め、急に乙女になったかのように、ションボリとして考え込んだ。
ふと三味線を取り上げたのは、気を紛らそうためだったろう。
鼠が二、三匹棒のようにつながり、膝の向こうを横切って走り、太紐のような鼬がその後から、背を波立たせて追って行った。