Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

「どこへと申してこの婦人の家へじゃ」

「お屋敷どちらでござりまするか?」

「松平越中守(後の白河楽翁公)殿のお長屋じゃ」

「神田北八丁堀の? ……」

「さようさようその通り、そこのお長屋の服部石見家へ、この婦人を送って貰いたいのじゃ」

「いと易い儀にはござりまするが、私がわざわざお送りしますについては、お送りいたす仔細を承りませねば……」

布衣ながらも一流の剣客、気軽で夜郎自大ではないが、時と場合にはうんと自重し、天下の副将軍と下世話にいわれる、水戸中納言家から招かれても、一応のところは断わって、再度の使者によって伺候したという、貫禄を備えた熊太郎であった。いかに相手が奇矯におわす、名門の御曹司であろうとも、素姓も知れず事情も解らない、一面識のそんな女を、送って行けといわれたところで、おいそれと引き受けることは出来なかった。

「もっともである。仔細告げよう」

冬次郎は頷いて眼を閉じて、考えるように沈黙した。

非常に複雑な事情があって、どこから話したらよかろうかと、その糸口を考えている――といったような沈黙であった。

「松本伊豆守が好色の田沼へ、賄賂として送った生贄、それがこの婦人なのだ」