Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

「待て! 汝!」

九十郎は追ったが、

(お吉も?)

と自分の妾である女の、生死のほどが案ぜられ、引っ返すとお吉の側へ寄り、ペッタリと坐り、

「お吉、お吉、お吉イーッ」

裏庭を斜めに勘助は走り、玉菊をうたっていた家の横手――お吉の家の横手に沿い、往来の方へ駈けぬけようとした刹那、お吉の家の二階から、二階の窓の格子の間から、閃めき落ちて来るものがあった。

こんな場合にも油断なく、八方へ心を配っていた勘助、

(何んだ?)

と宙で手に受けた。

銀簪だ!

紙が巻いてある!

血で書かれた数行の文字!

二階には織江がいた。

その織江だが先刻方、九十郎を目がけ抜き打ちに、

「これでも討てぬか!」

と切りつけた。

が「あぶねえ」と九十郎に、冷笑されてダーッと足で、腰の辺を蹴られ不覚にも倒れ、起きようともがいているところを、また九十郎のために足蹴にされ、他愛なく刀を奪われてしまった。

「こんな拍子に汝の体、もてあそぶなア訳はねえが、今日はまあまあ勘弁してやろう。が、毎日ゆるゆると、嬲るぞ嬲るぞ覚悟していろ!」

毒吐いて九十郎は立ち去ったが、立ち去り際にもう一度、

「逃げようなどと階下へでも下りたら、それこそ汝真ッ二つだぞ!」