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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

八月三日

八月四日

かと思うと、こうやって生きて居る意味が分らなくなって来る。私の生の目標は失われる。故にどうしても私はそう努めてもあらせなければならない。

八月三日(木曜)

大変にあつい。層雲が彼方此方に漂って、はげしい日差しが凋んだ月見草に暑苦しくよどんで居る。「世界の一隅で」を書き出したけれども気がのらない。どうしてもよく書けないので一二枚でやめにする。こんどの洪水で得た材なので、ほどが立ってしまうと弱くなりそうなので「小さき憂悶者」の先へ廻す。学校が始まるまでには、この二つ丈はまとめなければならない。尾島菊子氏が今年の文展へは驚かせるものを出す、文展には一年に一度一生懸命になってやって見る時がないからつまらないと云って居られるがこれは自分で時を作らないので、秋でも、正月でもを美術上の文展と比較すればよいのだ。何もあんなに只手細工にすぎないようなものを出して若し通ったところでどれほどのそこに意味があるのか?

八月四日(金曜)

午後から古本屋へ行く。神保町から駿河台までズーッと屋並みに歩いて見るけれどもどうしてもあんまり好いのがなかった。けれども『世紀病』と、『郷愁』