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にっき
日記
宮本 百合子
03 一九一六年(大正五年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页
九月五日
夜、『新訳源氏』と、『三人』ゴーリキーを買って来る。英男へ一円五十銭の fountain pen をかい国男へ三円道男へ二円五十銭やる。
間宮から母上を悪人に仕ようとする手紙を父上によこした。読んで見ると怒るとか怒らないとかの程度をこえて、罪に混乱しそれを掩おうとする人間のあわれな、しどろもどろの姿ばかりを見出せた。人の心理は恐ろしいものである。カメレオンよりも変化し醜くなり得る。
中央公論から原稿を返して来る。上にケシのカットなどかいてあるのが面白く思われる。
九月五日(火曜)
母上まだ床について被居しゃる。目が窪んだので大変凄くなって来た。『時事新報』にのって居る写真はよくとれて居る。瀧田氏来訪、木下杢太郎氏など、内田魯庵氏が大変ほめて下さったそうで、再版を千部すり、第三版になりそうだとのこと、うれしくないでもない。それから正月号にまた百枚か百五十枚のものを書いてくれとのことである。明日坪内先生の所にあがって来ようと思う。これからの努力はうれしい。涼しくはなり、気はしまるし、どうぞしてうんと気張ったものが書いて見たいと思わずには居られない。谷崎氏の亡友で『新小説』