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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

三月二十四日

三月二十五日

三月二十六日

三月二十四日(金曜)

上杉博士の憲法を少し見る。

どうも合点が行かない。

氏は進化論で国家は、適者として生存せんとする必要上から最もそうするに都合のよい国家と云う形式をとったのだと云うが、そうではなくて、国家をなすべき本質を有するのであると云うのであるが、凡そ本質があると云えば何か必要があって本質が起るのであるから適者として生存せんとする本能のさせる所であると云ってよいのである。

権力は優越なる意思の力なり

と云う事があるが、単純に権力は優越な意志の力と云う事は出来ないのである。下劣な意志を我々は優越な意志と云うのか?

三月二十五日(土曜)

朝花屋へ行って花を買って来て写生する。

なかなかよく出来ないで困って居ると銀地へ図案の様に置くがいいと云うのでそうするつもりで玉川堂に緑青と銀を買いに行く。

銀、金は須田町の箔屋で買った。

夜おそくまでかかって書いたがよく出来ない。

あまり単調で立派でもなければ美術的でもないのを見るといやになってしまった。

夜は妙に陰鬱な気持になってしまった。

三月二十六日(日曜)

午後一時から練習があると云うから行く。

支那留学生に対して侮蔑的な様々な微笑の加えられるのを見ると汗が出る様だ。