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にっき
日記
宮本 百合子
03 一九一六年(大正五年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页
七月二十五日
今日は非常によく書ける。うれしい。あしたはきっと出来上る。
午後になってからお茶水の卒業生だと云う『日日新聞』の記者が電話で話をききたいと云って来る。私には分らないので母上が夜に来いと云ておやりなさる。大抵話のすんだころ会って見る。なかなかどうしてしゃべれもするのをだまっておとなしそうに見せて居るらしい様子をして居るのがいやである。
こっちでも婦人記者と云う目で見るせいかもしれないがたしかに或る臭気を持って居る。中公の瀧田さんから聞いたと云って来た。監見満と云う人である。あの□高とどこか似た所がある。いやな感じを与える。
七月二十五日(火曜)
原稿が出来上った。今まで毎日毎日書いてばっかり居たので、がっかりした様な心持もするがうれしい。随分苦しんだ。母様と一緒に一通り見なおしてとじるともう五時過ぎて居たけれども、車で一寸坪内先生の所へ御覧いただきに行く。原稿を膝にのせて車を走らせて行く心持はたまらずよかった。
御玄関に立って居ると、何か読んでいらっしゃる先生の御声が高く聞えて来る。夜九時頃かえる。二葉亭四迷が三年もかかって「浮雲」を書いたときの御話をなさる。