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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

十二月二十三日

十二月二十四日

Cranford をよむ。大変面白い。何だかもうかえりたくて仕様がない。東京の家で、赤ちゃんのよちよち歩くのが見たくなって来た。余り陰気で、余りみんながいやなことばっかり云い合って居る。

十二月二十三日(土曜)

今日の夕方五時半に道男が来ることになって居るので、迎に行く。お祖母様は行かずといい、いいと仰云るのを強いて行って、石井のおみよさんにあげる袢衿と、二葉亭四迷の『片恋外四篇』をかって来る。一寸よむ。が、私は二葉亭が文学をいとったわけが分ったような心持がした。偉い人だった。だから苦しかったのだ。

夜石井へ行く。有江のことや、何かをしきりに話す。徳馬鹿が色情狂になって、あの交番のわきに監禁してあるのだそうだ。一寸もしらなかったが気味がわるい。提灯の周囲丈ほか見えない灯で、ふけた夜道をあるくことがたまらない心持がした。徳馬鹿なども、時代の犠牲者だ。

十二月二十四日(日曜)

十一時四十一分ので立って来る。二高が休みになって殆ど車室は一杯の有様であった。坂本が迎に来てくれたはいいが、すぐ迷子のようになってしまって大変こまった。家について見ると、英・国の二人がねて居て、食堂では木下家具店でエキステンドィング・テーブルのデザインをして居る。