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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

九月二十六日

を買って来た。さほど面白くもなかった。訳が悪いのだろう。夜千葉先生へ御手紙をかき文科会雑誌をのぞいたほかのを皆御返しする。御祖母上様が家へいらっしゃるとき門に車がぶつかってひっくり返ったと云うので、家中大さわぎをし、父様は門を早くなおさないから悪いのだと云うことで、母様から小言を云われて被居しゃった。Prisoner of Zenda を少しよむ。かなり面白いものだ。

九月二十六日(火曜)

明日小此木先生、四時より

十一時少し前に聖マリア館へ行き一時間して来る。又かなり暑くなった。タッドと云う人の顔の表情は大変千葉先生によく似て居て何となしうれしかった。どっちかと云えば、重苦しいような肉感的だとも云える顔立ちであったが、声と言葉は、ほかのどの人より、若い子供らしさのある調子であった。リネンのよく洗いたてた着物が、あんまりちゃんとしすぎて居るので体がぎこちなかろうと云うような感じを与えられた。電車で幸田さんに会った。かえりに白山のところで、未明さんの『底の社会へ』と、『硝子戸の中より』と、『お光壮吉』(小剣氏)を買って来る。上司氏の皮肉はお光壮吉時代にはまだ、さのみ遊んで居ると云う気を起させない。