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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

三月一日

三月二日

三月三日

三月一日(水曜)

夜下島さんが来る、あの年をして貧しい淋しい様子をして居るのを見ると同情しずには居られなくなる。

書斎で種々話しをする。あの人の天地の如何に可愛らしい事よである。あれ丈の中に甘んじて居られるのを思うと実際内的事件はその人がまねかなければ必ず起るものでないと云う事を感じてしまった。

「貧しき人々の群」と「農村」を出して見る。まるで比較にならない。彼那ものをとくとくとして書いて居たのかと思うとなさけなくなる。

二月が英男のためにごちゃごちゃになった事を惜しくも思うが、三月を有効に用えばよいとも思われる。

三月二日(木曜)

「貧しき人々」十三を書く。明日海辺へ旅行だけれ共金曜で海がこわいから行かない事にして十四と十五を書けたら書きたいことである。

今月中はどんなにいそがしい思いをしても「追憶」とこれと「小さき憂悶者」をまとめなければならない。

そして四月の十日頃にはどうしても出さなければならないのを思うとゆっくりはして居られない。「お久美さん」を残念に思わない訳には行かないがそれに刺戟されたのを思えば有難い。

三月三日(金曜)

欠席

国民美術協会の展覧会へ行く。