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にっき
日記
宮本 百合子
03 一九一六年(大正五年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页
二月四日
二月五日
早退。教育試験。看護婦来る。
風が大変強い。風邪がよくないので、喉が痛むやら鼻汁がつまるやらして気が重い。英男さんはよくないらしい。松岡、細井氏が来る。母上は非常に不安だと見えて涙ぐんだ様にして居らっしゃる。看護婦はクリスチャンで利口らしくはないが静かな人である。よい□□れない。
「貧しき人々の群」第四をかく。久し振りで安心してねられる。夜英男七度一分に熱が下る。胸をひやしたためであろうとの事だ。先ず何より結構。
ニイチェの哲学を読み終ったが何だかすっかり捧げつくす所まで共鳴されない。これ等の思想を元として私は私の哲学を産み出さなければならないのである。「汽車に石炭の必要な如く我々には日に三四〔約二字分空白〕立方の新思想が必要である」と云う〔約四字分空白〕の言葉は非常に面白い。同人の書いた、愛した、生きたと云う墓銘。
二月五日(土曜)
欠席
学校に演習会がある筈だけれ共行かれない。英男もあまりよくないので、家中はごった返しに返して居る。日が曇って陰気なので、私は到底堪えられないほど憂鬱な気持になって仕舞って、焦々しながら種々な事を考えて涙をこぼして居た。