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にっき
日記
宮本 百合子
03 一九一六年(大正五年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页
八月二十六日
八月二十七日
結局のところ二人はどうするのか。互にそうしたからそれが彼等一生の幸福であると思って居ないのは明かでありながら……。私の居ない間に『科学文芸』から原稿をもらいに来たそうだ。
八月二十六日(土曜)
今日母上日本大学へ電話を御かけなさると、三月から一度も学校へ来ないと云うことだった。どうりで、おそくなろうがどうしようが平気だったと今思いあたる。活動へでも毎晩行って居たのだろう。私が気のどくだと思ってやった電車の切符はどこへ行くようにつかったのか。「人間はだましやすいもんだ」と彼は微笑しただろうが内心の苦痛は、かなり強かったのだろう。今になると、あの女と、四角ばった辞儀をする間宮との間にどこかで操つられて居た運命の皮肉を感じ、自分自身の位置、態度に対するたまらない不愉快な心持も湧いて来た。夜は、「死の勝利」を一寸見た。ジオルジチの心持が、或意味に於て、今までよりはっきり分った。
八月二十七日(日曜)
午前中、父上から来た電報為替をとりながら、古本みたいな『あらくれ』を四十八銭で買って来た。暑い、蝉がしきりになく、Hがいかにも会社員めいた風をして芝の法事へ出かけて行く。