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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

一月二十二日

何のためか分らない。私は「貧しき人々の群」を非常によく書きたいと云うのぞみもあるし日曜には坪内さんにつれて行ってもらいたいと云う事もあるし歯を抜かなければならないと云う不安もある。二十四日位から書き出して今月中か或は二月に少しかかってから書きあげなければならないと思う。

三月になれば入学試験もある事を考えるとうっかりしては居られない。

明日は文法と読書を、よほどしなければならない。

一月二十二日(土曜)

出席

久米氏に会う

出て行きたくなかったのを遂に出かけて行った。「三十日の町中」を返してもらう。

音楽の時間が休みだったので蜷川さんと、この頃の心の様子を話し合う。

今日は種々な感情が私を苦しめたのである。本田の道っちゃんの顔を見てはげしいにくしみを感じた。私がする事に一々口を出して何かと干渉して居られるのも辛いし無自覚な顔をしてオドオドと何かして居るのを見るのも歯がゆい。一日も早く広い世の中に飛び出したい。私に遠慮しながら種々な影弁慶をして居るのを見るとよけいにくらしくなる、それは私にも欠点は有ろう、明らかな欠陥を自分も知っては居るけれ共それで私のすべてが評価されるべきものではあるまい。