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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

一月四日

一月五日

女の生活に着物と云うものの占めて居る位置のつよさにおどろく。寿江子が大変私に機嫌がよかった。嬉しい事である。

一月四日(火曜)

久米正雄氏より『帝国文学』、手紙

久米さんの所から「金井博士とその子」と云う劇を送って呉れる。一番音彦と云う息子と、巴子が一番よく出て居る。一番力を入れて書いた人物だからでも有ろうけれ共恋心の芽生のある巴子と、メフィステックな音彦と、おっかけっこのおとぎ話はいかにも印象的な面白いものである。兎に角「牛乳屋の兄弟」より一番何となし劇的効果のある作である。

それにつけてよこして呉れた手紙は又私共の感情をかき乱すものになった。無同情な年長者の心に悲しくさせられる。夜父からの贈物の花瓶を見つける。

一月五日(水曜)

〔書信〕坂本千枝来

大風が木枯しの空を吹き荒れる。黄枯れた梢が淋しく晴れた空の下に揺れて居るのを見ると、一種異様な感に打たれる。種々な分らない事を抱えて、毎日、毎日思うより幾分の一外仕事の出来ない日を送って居る事は辛い。

今日から三日掛って、「お久美さん」を書き上げなければならないと思うので、九のすっかりと十だけをまとめた。