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にっき

日記

宮本 百合子

03 一九一六年(大正五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页

青空文庫

三月二十一日

三月二十二日

三月二十三日

劇にして見ようかとも思う。

三月二十一日(火曜)

独歩の運命説がよく分った。

彼の時代の文芸家の中で彼が如何に苦悩多く苦しかったかと云う事を思いやる。

「空知川の岸辺」は、巧な叙事と旅情の表れである。

夜女子大学の願書を書く。

三月二十二日(水曜)

女子大学願書呈出

銀行へ行き。夜弘道会の名人会へ行く。

永田錦心の薩摩琵琶はよかった。

低い声の時は声楽にきく丸味と落つきがあってよかったが甲声が悪い。

義太夫の綾花の語り口は呂昇などから見ると如何にも下びて居る。

筑前琵琶はあまり繊細な女性的なものすぎる。

旋律の三味線的な、精神のない声がまことに気味が悪い。

伊十郎の声はいつもよい。

倉知の連中に会って、食堂に行った。

三月二十三日(木曜)

送別会へは行かなかった。「知慧と運命」と、上杉博士の「国家論」を少し見る。

あまり感服は出来ない。

進化論の適者存続の論などに対する反対がかなり単純なものである。種々の疑問が起った。

人道主義は今の有様では空想であると云うのは感心出来ない。

夜、文法とリーダーをすっかりよんでだけ仕舞った。

「貧しき人々の群」少し訂正。

坪内先生のはつまりお帰りまで待つと云う事になったのである。