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にっき
日記
宮本 百合子
03 一九一六年(大正五年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 81,739 字 · 164 页
七月五日
七月六日
けれ共それはどうすればいいかと云うことは分らない。」との御言葉は非常に私を考えさせたものである。夜母上御木本からブローチのいいのを買っていらっしゃった。dew drop の様でよかった。大変。
七月五日(水曜)
「戦争と平和」をよむ。ピエールもアンドレー公も、ナタアシャも皆愛すべき人である。何故自分はこの様なものに先は驚ろかされないで居られただろう。「小さき憂悶者」の稿を起しかけたが最初の第一回が浮んで来ぬ、二行目にあたる部分からは声を出してよめる様にまではっきり思い浮ばれて居る。上杉家披露会。池田氏夫人などが妙に貴婦人の品位を誤解してお愛素もなければ笑いもしないと云う様になって居ると云う。可哀そうなことである。
七月六日(木曜)
間宮とこうとの事件が進みつつある。ナタアシャが誘惑されて行くところの心理は何と云う立派に描き出されて居ることだろう。私は妙な心持になった。そして、この間中から自分の心に芽して居る久米氏に対しても又誰に対してもどうか、友愛と云うおだやかな愛情で接せられる様になりたいと云う願望がはげしく私を苦しめた。そしてまだ感情としてもどこかに未熟なところのある、それで居て燃え易い心持を自分ながらよろこばれない。