轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

思い当ると、さすがな伊兵衛も、今のうかつな出会いがしらが、なんとあぶないところだったろうと、あとで胆をちぢめた事であります。

――ひとり小屋の楽屋に立ち残った金吾の方は、あわてて出て行った二人のうしろを見送って、しばらく何か考えている様子でした。

芸人の手廻りの品は、夜ごと持ち帰るものとみえて、楽屋の内には何ひとつ派手な衣裳も見当りませんが、ふと向うを見ると、鷹の羽くずしの紋を染めぬいた柿色の暖簾がさがっている。

鷹の羽――それが自分の紋だけに金吾は特に目をひかれて、ふとそこを潜ってみますと、嵐粂吉の部屋でしょう。ほかよりは少し整っていて、なお不思議に感じられたのは、そこにある湯呑、鏡蓋、衣裳つづら、すべて印のある品物、何ひとつとして、鷹の羽くずしの紋でないものはありません。

お粂だった。

自分の想像していたとおり、嵐粂吉というのはやはりお粂にまちがいはない。

この、白粉によごれた蓆囲いの部屋の調度が、すべて、自分の家紋をくずした鷹の羽くずしに埋まっているのを眺めた時、金吾は、言いあらわしようのない自責と侮辱にうたれました。

(アア、紋まで片輪になりおった……)