轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

「お話を承り他の者とも凝議いたしましたところ、案内の者はお易い御用でござりますが、おたずねになる先の者は、ことによると、天童谷の切支丹村へでも迷い込んだのではあるまいかと申す者が多数にござります」

「なに……切支丹村?」

例の万太郎の猟奇心は、その村の名を聞いただけでも、何か伝奇的な空想に心を囚われた様子に見えます。――で、にわかに膝をのりだして、

「この奥秩父に、そういう村があるのじゃな」

「あるといううわさは誰でもしておりますが、まだそこへ足を踏み入れた者はございませぬので」

「この地方の者が知らぬ程な奥と申すと、よほど嶮しい所であるな」

「山の嶮しさより、その辺へ迷い込んで、一人として帰った者がないのでございます。――で山案内の申しますには、ほかの所なら、たとえ甲武信のような嶮しい所でも怯みはせぬが、どうも、奥秩父の方だけは……と誰も彼も、しりごみをいたしまして、御用に立つべき胆気の者がござりませぬので……」と、そこで神官は、返辞の遅くなった事情を婉曲に詫び入りました。

「では、案内に立つ男がないと言うのか」

と、万太郎の声が少し尖りますと、神官も恐れ入って、否とも言いませんあるとも答えません。