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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

「どうだ、いくら賢いようでも女の小智慧、世間には上手な悪党がうんといるのが分ったろう」

「じゃ、お前さんたちも、悪党なの」

「当たりめえよ、ぼんてん帯の渡り仲間に、真っ直な人間がいてたまるものか。だがお蝶、そう怖がることはねえ。なあ、この三人は龍平の友だちだから、龍平同様におめえとも交際いたいと願っているんだ……だから、ちょっとこッちへおいでよ、話がある、何さ、怖いことがあるもんか、おめえだってもう清浄無垢な生娘じゃなかったはずだぜ」

少し脅しの風向きが変って来ました。

弱味をつかまれて身を縮めたお蝶の艶な姿が、みだらな出来心を煽ったのか、すでに前々から、かくあるべき下心でいたのか、どっちにしろ三人のあぶれ者が、奥の手の爪を研いで、獣情の目を燃やし出したのは始末が悪い。

「あっ……いやッ……」

お蝶は手を出して来るのを払いつけて、両の袂で両の乳を抱きしめました。

「へッ、へ、へへへへ」

権次と松はみだらな笑い方を見合って、

「憎かあねえな、え、おい」

「うん……こんな美女を龍平の野郎め、よろしく、ひとりで永々と楽しんでいやがったんだから、ああなったのも、男冥利に尽きたんだろう」