轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

朱を浴びた春の陽の仁王門で、雑沓に押されながらこういうと、供と見える縞物の手固い服装をした町人が、

「若様、あいにくは乱暴です。ここの坊さんが聞くと怒りますぜ」

「でも、あいにくではないか。こう雑鬧な人出では、先も探すに困るであろうし、そちが見付けるにも容易ではあるまい」

「それにしても、ここを約束の場所にしたのはこッちの都合で、護国寺じゃ、毎年きょうと極まっている開帳日です。伝吉のやつもうっかりして、今日がこんなに混み合うたあ思わなかったんでしょう」

「何せい、仕方がない。どこか小高い所へ上がって、この群衆の頭を一ツずつ検分しているとしようか」

「なに、ほかに探し方もあるんです。まあ、私についてこッちへお出でなさいまし」

といいながら、先に立ったのは目明しの釘勘で、法蔵院の池の前から八ツ橋をスタスタと渡り、向うの藤棚の人なきところで待ちました。

ついて行く侍を見ると、これは徳川万太郎です。きょうは釘勘の注意か無紋の羽織、例の茄子紺の秀鶴頭巾は、それで人目を避けたつもりでしょうが、気品のある色白な目鼻立ちに、あまりうつろい過ぎていて、行きずりの人の目を振顧らすとも、顔かくしの役には余り立ちそうもありませぬ。