轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
おくれるものかという勢いで、徒歩のふたりも馳けて行きます。が、少し距離のひらきができると、般若の顔が馬上からこッちを向いて、追いついて来るのをまっている。
――そしてまた飛ぶ。また駆けだす。
ここらはもう無論江戸の朱引外ですし、本街道にも外れていますから、めッたに会う人とてはありませんが、出ッくわした者は、あッといって見送る前に腰をぬかしていたかも知れない。
天地は穏やかな春夜の朧、ものの影はみな真珠色にくるまれていますが、その怪人の馬蹄が飛ぶところだけ一陣の黒風が条をひいて行くかと疑われて、金瞳青眉の鬼女の仮面は、それに吹かれて生きています。
いつか、道はもう練馬の里。
川越街道の追分を過ぎて疎林をくぐると、石神井の流れが麦畑と草原とを縫って、あたかも、水銀の液を流したようにのぞまれて来る。
初めは、馬のたてがみに突ッ張っていた馬春堂の体も、また気を失ってしまったのか、グタッとやわらかになっています。そしてめぐり廻る家や岡や林――それらの土郷風物がすべて後ろに別れ去ると、もう、さして行く先は渺茫として海のような武蔵野の原――行けども草原、行けども草原です。