轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
扇は金泥に山桜の胡粉絵、銀に紅葉、その幾本かをとって的に向う。つまり、これから投扇の技をくらべて、月江が次郎の鼻を明かそうという趣向かにみえます。
おりんも次郎も、投扇にはまだ初心とみえて、どうやるのかと神妙に畏まッていると、月江は、表十組の橋立が何点、春の野が何点、富士が何点、裏の高砂有明が何点といちいち説明して、投技の秘訣に及び、さておしまいには、小さな冊子を膝にひろげて、投扇の起源という一齣まで読んで聞かせました。
――投楽散人とかいえる人、花都の産なり、さる年水無月の炎暑にたえかね、昼寝の夢さめて、席上に残せる木枕をみるに、胡蝶一つ羽を休む。投楽かたわらの扇をとり、何気なくかの蝶に投げ打てば、扇は枕に止まり、蝶は去りぬ。
われながらいみじき事に覚えて、今一度と、扇を取って幾十返りかこれを投げるといえども、枕の前後に落ちて、枕上に止まらず、これより投壺の遊びを思いよりて投法をたて、投扇興と名づけて専ら宴遊の間に流布されしとなん。
「まあ、お伽ばなしみたいですね」
と、おりんが聞き終ると、次郎は半分以上わからない顔をしていたくせにして、
「なんだ、そんなことか」