轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
酒、ひたしもの、吸い椀、田楽、それに、茶づけ茶碗まで付いて一人前、あのとおりなお誂えがまいりました。
それは蒔絵の高脚膳に向う常の夕餐より食味をそそッて、不なれにあぐらを組む居心地までが、万太郎にはたまらなく解放された気分です。
「へえ……」
と、イヤに感心した声がする。
背なか合せの衝立のうしろに居る一組の客のささやき。
「じゃあ、もうお陀仏になっているんで?」
「……らしいネ、御様子が」
「だって、まだ御危篤ぐらいなところだッていう噂じゃねえか」
「えらい人のおかくれになる時は、みんなそうさ。それから喪を発すという事になるんだ。きッと、明日あたりは鳴物御停止のお触れが出るぜ」
「と、また不景気だろうな」
「おれたちの稼業に、不景気があるもんか」
――ははア将軍家のおうわさだなと、万太郎は何か面白いような気持でそれを聞いている。
衝立の向うにいるのは三、四人の町人で、
「飲む時に稼業の話は止そうぜ、稼業の」
「ウ、つい口がすべッた。ま、一つ注ごう。ところで将軍様がおかくれになると、さしずめ、次の将軍家はたれッていう事になるんだろう」
「家継公様は、まだたったお八ツ、無論、お世嗣はねえわけだ」