轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

「いや、なんという事はないぞ、なんでもいい。こうした晩らしく、賑やかに、興を! 興を!」

「では御隠家様」

と神楽師のひとりが、うしろに引ッ込んでいる伊兵衛の顔を指さして、

「あれにおります男、至って、人相はよろしくありませんが、生来笛の名人でござります。御所望とあれば何がな一曲吹かせておやり下さいませ」

「ウム、笛をやるか」

「仲間でも吹ける男といえば、まず、あれにいる伊兵衛でござります」

「やい、やい」

と、道中師の伊兵衛、あわてて袖を引ッぱりながら、

「つまらねえ事を喋舌るな、笛なんざ、もうとッくに忘れていら」

というのを、千蛾老人、遙かに目に止めて、

「伊兵衛とやらいう笛吹きの名人、ちょうどここに、当家秘蔵の一管がある、お前なら吹けそうじゃ、試してみい」

と、うしろの床の間から、朱塗の狛笛を取って、ここへ――という目でさしまねきました。

「ど、どう致しまして、仲間の奴らが、からかい半分に飛んでもねエほらを吹きゃアがって。イヤ滅相もないこッてす。何で、あっしのような頓馬にそんな名器が扱えるものじゃございません。……ヘイ、それだけは、真ッ平御免なすッて下さいまし」