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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
「じゃ、これで、あらかた目星はついて来たな」
「でも、まだ姐御の居所が分りませんぜ」
「ウム、お粂か」と、彼の声がやや沈み入りましたが、
「あいつは、やがて自然にわかって来るだろう……じゃ、これでおよそ皆の話も聞き取ったから、そこで」
と、また深く考えて、不意に、
「雲霧、籖をこしらえてくれ」
といいました。
「籖?」
妙な顔をして訊くと、
「そうだ、これからの大役を、籤引で一役ずつ引受けてもらうのだ」
「へ。何本?」
――指を折って、
「五ツ組、六本でいい」
雲霧が懐紙を出して、五つに細く裂き、それを日本左衛門に差出すと、かれの代りに先生金右衛門が、その紙縒の末に、いちいち何かを認めました。
「ところで、この籤だが」
と、引かせる前に日本左衛門は、雲霧、四ツ目屋、尺取、千束、それと秦野屋九兵衛とを加えて、その五人にすべての手下を五ツ組に分ける。
そして、これからの行動は、すべてこの五ツ組に分れて目的を遂行すること。寄合の時、場所、その他の連絡など、すべての約束を結ばせた後、
「サ、たれからでも引くがいい」
金右衛門が紙縒の先を一同へ向けましたが、
「ですが、これは一体、どういう訳の籖なんだか、そいつが分っていねえと、張合がありませんね」