轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
いつのまにか、粂吉の番頭とも用心棒ともつかず部屋へころがり込んだ馬春堂と伊兵衛が、何のかのと、それらの相談にも口を出して、やっと取り極めたのが甲府で十日百七十両三歩という嫌に切りつめた約束。
「田舎にしちゃ思い切って気張った方だ、どうです、ここへ一つ乗り込んでは」
と、話が極まッて、途中二、三ヵ所の宿場で打つ安い興行も引きうけ、一座はそれから甲州路を諏訪あたりから上田辺まで打ち廻って、中仙道をグルリと廻って来る方針と定まる。
そこで。
一座は粂吉を初めとして、番頭格の馬春堂、用心棒の道中師の伊兵衛、若い娘芸人や出方や男衆などの小屋者、すべて、すぐッて十七、八名、
鷹の羽くずしの衣裳つづらを小荷駄の背中にのせて、お粂は例の手拭かぶりに、馬の鞍へ横乗りになり、あとの者も徒歩や馬や、思い思いな旅装いで、ふたたび川越から武蔵野の原をななめに抜けて甲州街道へこころざしました。
わずかなうちに、武蔵野の草もめッきりとのびている。
行くてにあたる甲州の山と相模平野の間にかけて、白い雲の峰が高いのも、にわかに夏らしく感じられて、ムッとするような草いきれの広野を、気怠そうな人の足どりと馬の鈴が、同じような歩調をもって変化のない道を西へ西へと進みました。