轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

「なに、不義をしたと?」

「おれが囲っておいた妾のお粂に、たれの許しをうけて手を出したか。熱海の藤屋にかくれていたあのざまが不義でないか! それでも蔭間侍でないか」

「ウウム……」

と、唇をかんだ金吾は、るような彼の声に、歩足の自由を奪われたかの如く、まッたく色を失いかけました。

「どうした! 蔭間侍」

冷然と、そしてまた、鋭いものは、対岸に立った仇敵の嘲蔑です。

彼はさらに、皮肉きわまる口をひらいて、顔色蒼白となった金吾をながめながら、

「強って、望みとありゃあ、いつでも相手に立ってやるが……ただし! 貴様が最前からほざくように、主家の仇とか、武士の意気地とか、侍らしい名分を口にするなら、まずその前に、きたない不義の名を洗って、お粂とのいきさつを片づけて来るのがほんとだろうと思うが、どうだ金吾!」

「…………」

「おれのことばが違っているか」

「むッ……」

「犬!」

「…………」

「蔭間!」

「フウ……」

「よも、返辞はできまい。それとも、貴様の口ぐせにいう大義名分を引ッ込めて、おれを逆恨みの女讐に、その女くせえ手で、来の了戒を抜いてみるか――」

言々句々、毒をふくむうちに明白な理をもって、るが如きかれの罵倒に、金吾の真ッ正直な理性と血気とは、グッと返辞につまッたまま、目のくらむような恥辱をおぼえました。