轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
――どうやっても絶対に開きません。それもそのはずで、あの日本左衛門の手下が荒して以来、蔵の戸前は厳重に釘づけとなっているし、四方の塗籠窓にも太い鉄の柱が打ちつけてある。
とこうするうち、牡丹畑の木蔭にポチと明りが見えたかと思うと、
「やっ、官庫の前に、怪しげな人影が見える」
「オオ曲者」
と、雪を蹴って来る足音。
山屋敷の同心と見廻りの仲間です。
お蝶は驚いて走り出しました。しかし、この切支丹屋敷の中で生れている彼女のことなので戸惑いをすることなどはありません。
「足痕を辿れ、足痕を尾けてゆけば逃げた先が分る」と、同心はやや暫くの間、根よく雪の上のくぼみを見歩いておりましたが、そのうちに、自分達の足痕にも錯覚を起こして、遂にあきらめたように、役宅の方へ引揚げて行った様子です。
その後で、檜の木立から、ザワッと雪を落として姿を出したのはお蝶で、
「ちいッ、骨折り損をした上に、あぶなく捕まってしまうところ……。ああ、着物は濡れるし、髪はこわれるし、こんな事なら来るのではなかったのに」
空しく、元の所へ帰ろうとすると、突然、低いけれど鋭い声で、
「お蝶様ッ……もしお蝶様」