Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
八
だが、浪路の、こうした心の変化の奥底の秘密を、いつかすっかり見抜いていたのが、長崎屋三郎兵衛であった。
――ふうむ、悧巧なようでも、やっぱし娘ッ子だなあ。上方役者にぞっこんまいッてしまったらしいぞ。ふ、ふ、ふ、もっとも公方のしなび切った肌ばかりじゃあ、物足りないだろうでなあ。
冷たく、独り笑って、やがて真面目な目つきになって、何か考えてみはじめるのだった。
八
三郎兵衛はもう舞台には、注意を払わなくなった。
――この娘に、思うようなことをさせてやって置けば、わしの日頃の望みは、千日かかるのが、十日で成就するわけだ。こんな折がなかなか二度とあるものではないぞ。
この猛悪な貪慾漢は、主家を陥れて、現在の暴富を積んだにもかかわらず、なおこの上の希望として物産用達の御用を、柳営から受けたいのだった。
この大望は、三斎父子を背景としている彼にも、なかなかむずかしいものに思われた。幕府にも手堅い組織があって、私情、自愛では、突破し難い鉄柵が存在していた。
だが、そのような非望者に取っての大障害も、道を以てすればたやすく破壊し得るであろう――三郎兵衛は、日ごろから、浪路を、その材料としてえらんではいた。