Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

六

六

雪之丞の姿は、咄嗟に、塀を越えて、長崎屋のあとを追う。

動顛したのは、浜川はじめ手代たちだ。

「あぶない! ほうって置いたら大変だ!」

「浜川さま! どうかなされて!」

と、叫ぶ家人たち。

浜川はうなずいて、

「仕方のない奴だ。ああ取り乱してはどうにもならぬ。よし、拙者、あとを慕って、間違いのないように致そう」

「どうぞ、お願いいたします」

「あまりその方たちが、騒ぎ立てると、却って気が立つ――拙者にまかせて置け」

浜川平之進、大刀を、ぐっと腰に帯びると、そのまま、これも非常門から出たが、敢て、三郎兵衛をじかに追おうとはしない。

「かご屋!」

と、巷路を通りすがった、辻かごを呼び止めて、

「急用だ――竜閑町まで行け!」

立派やかな侍、いい客と思ったので、かごが、すぐに矢のように走り出す。

狡いのは、長崎屋三郎兵衛であった。彼は塀外に出ると、すぐには広海屋の住居を差して駆け出そうとはせずに、物影に身を潜めてしまったのだ。

こんな場合でも、日ごろの悪どい知恵がはたらいて、必ず迫って来るにきまっている人達を撒いたあとで、何か、怖ろしい行動に移ろうとするものに相違ない。