Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
二
「ナニ、雪之丞が――」
と、三斎は眉をよせたが、さすが、娘が死ぬ程恋した相手と思えば、すげなくも出来なかったか、
「通せ」
二
いつも通される奥まった離れにしずかに坐って、三斎隠居の出を待つ雪之丞の心は、水のように澄みかえっている。
ここまで押しつけて来て、彼は、何を思い悩み、案じ煩う必要があるのだろう――天意が、力を貸してくれたというか、神仏が見そなわしたというか、いのちがけで抱いて来た復讐の大望は、彼が、こうしたいと思う以上に、先方から動いて来て、父母が呪った悪人たち五人のうちの四人は、もはや生の断崖のかなたに蹴落されてしまったのだ。
しかも、その死に方の、どれもこれもが、雪之丞自身で手を下したより、百倍も浅間しくみじめな、けだものじみた最期を遂げねばならなかった。
そして、残っているのは、この土部三斎一人。
――今夜だ。
と、雪之丞は、喪の家の、不思議な沈黙と、侘しい香の匂いとを、かすかに感じながら、こころに呟く。
――この家のあるじは、わたしというものが、どんな人間かそれを知らねばならぬ。それを知ったなら、あるじは生きてはいまい。人間の怨念、執着というものが、どれほど激しく勁いものかを知ったなら、恐ろしさに生きつづける気はしなくなるであろう。