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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

五

況して、当の三斎隠居はじめ、感に堪えたように、うっとりした様子で、こちらの容姿と技芸とに酔っているのである。

――まず今日は、大切なお客さま、それから、ゆっくりと、御覧じて下さりませ。

雪之丞は、冷たく心に笑って、やがて、専念に、役の性根に渾身を傾け出すことが出来た。

その幕が下りて、顔を拭くか、拭かぬかに、隣の師匠の部屋から、男衆が迎えに来た。

すぐに、出向くと、あらかじめ人を払っていた菊之丞が、

「案じることもいらなんだな」

と、まず、讃めてくれるのだった。

五

雪之丞は、言い難い涙が、こぼれ落ちそうになるのを抑えながら、師匠の言葉を、うなだれて聴いていた。

菊之丞は、撫でさするような目つきで、

「しかも、舞台が、寸分の隙もなくつとまったのは、あっぱれ日ごろの心掛けが、しのばれましたぞ――あれでのうてはならぬ。万人と変った、大きな望みを成し遂げるは、一通りの難儀でないのが、当り前だ」

と、いって、口調をあらためて、

「実は、そなたが今日、心みだれるようなことがあると見れば、知らすまいと思うたことじゃが――世にもたのもしゅう、大事の幕を済ましたゆえ、申し聴かせようと考えますが、雪之丞、そなたは、今日の桟敷の、顔ぶれ、すべてしかと見覚えましたか?」