Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
一二
「あれもう、屋の棟が!」
と、又しても、泣き叫ぼうとする妻女。
「ええ! 泣くなというに! 高の知れた小家一軒、そなたがそんなに惜しく思わば、明日が日に百軒でも建てて見しょう! 見るがいい――あのいろは庫――まだ『る』の十一戸前だが、あの通り立派に建ち並んでいる。それなのに、何が――つまらぬ小店、どうせ建て直さねば手狭になったところ、却っていい折の火事だと思えばいいのだ」
広海屋は、妻女を抱き寄せるように、裏庭のはずれ、河岸に近い方角に、黒く輝いてつづいた土蔵を指し示す。
ガチガチと、歯の根も合わぬながらに、女房も、いくらか落ちついて、広海屋の指先の示すあたりに眺め入って、やっと泣き止んだころ、主人夫婦のすがたを見かけた手代、小僧、出入りの職人どもが、畳、屏風、火鉢なぞを、運んで来る。
「何とも、申し上げようのないことで――」
「火の用心、念には念を入れておりましたが――」
なぞと、自分たちの失策でもない――と、いうこころを、言外に匂わせて、口々に言うので、広海屋は、苦わらいで止めて、
「よいよい、店だけで、焼け止まる模様、幸い、横手は河岸だし、隣は間あいがある。