Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
一〇
――めっきり美しさが増したわい。公方のおもいものであったときには、言わば、ただ綺麗な作り花にすぎなんだようにしか思われなかったが、今夜の、この仇っぽさ! 恋が、この女の美しさを、百倍にもしたのだ――それにしても、浅間しい、河原者風情のために、身を焦し、心を焼くとは!
浪路の胸が、五体が、雪之丞を慕う想いに、燃え立っているのだと思い知ると、五助は、嫉ましさを感じるよりも先に、激しい望みに渾身、この真冬に、熱汗に濡れただようばかりだ。
――河原者を慕う不所存な女子を、拙者がわが物にしたとて、何が不都合であろう! どうせ、汚れてしまっているか、遠からず汚れてしまうか、いずれかにきまっているのだ。
「浪路どの!」
と、いくらかもつれた舌で、五助が呼びかけて、
「が、そなたの気持が、まん更、わからぬ拙者でもござりませぬぞ、それにしても、なぜ、子供のときから、いわば伯父姪のようにも親しんで来た、拙者どもに、心の中を打ちあけては下さらなんだ――残念だ」
――何を、この方は、おいやるやら!
と、浪路は、今は魂が据って来て、心につぶやく。
――この方々こそ、父上にすすめて、自分達の栄華を遂げるために、ひとを、公方への、人身御供に上げたのではないか!