Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

一四

「あたくし――」

と、かすかに返事をした。

答えぬところで、向うはもう、ハッキリ、こっちの存在を、見て取ってしまっているに相違なかった。

「どなたさま?」

追い打ちに来た。

どことなく、凛とした、許さぬ調子が、ふくまれていた。

お初は、はじめて、ぎょっとした。その声と一緒に、戸が開いて、白い顔の持主が、闇に下り立とうとしているのだ。

――まあ、あいつ、あんな声で、男だ。

お初は、帯のあいだに手を入れて、匕首の柄にさわった。

一四

――あいつ、あの白い顔の奴、男だ!

と、突嗟に悟って、匕首に手を掛けてお初、

――なあに、男だって、化け物だって、怖いものか!

近づいて、切ッ払って、亡ける覚悟し――いたずらに騒いでは、却って、此の場合、逃げ場を失うのは、知れ切っている。

庭下駄を突っかけた、不思議なしとやかさを持った人物はしずかに近づいて来て、

「そこなお人、御当家のお方か」

寄って来るのを寄らせて置いて、

「ちくしょう! 出鼻を挫きやあがったな」

低く、刺すように叫んでお初、キラリと抜き放った匕首をかざして、ぐっと、突いて行ったが、相手は、ほんの少し身をかわしただけだ。