Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
三
質素な縞の着物に、黒繻子の帯、何か役の都合で、必要もあるかと用意してある自前の衣裳――町家のかみさんにでも扮するときしか、用のないものだ。
重ねて言われて、男衆が、それを、取り出すと、雪之丞は、手早く着更えて、手拭いを吹きながしに冠ると、褄をちょいとはしょって見て、姿見にうつしたが、
「すっかり、江戸前のかみさんでしょう?」
「ほんとうになあ――ちょいとしたとりなしで、かわるものだ」
と、男衆の一人は感心したようにつぶやいて、
「で、そんな扮装をなすって、どうするおつもりで?」
雪之丞は微笑した。
「まあ、黙っていて下さいよ。今夜、これから、この姿でおたずねして、ある方を、びっくりさせるつもりなのだから――」
そして、彼の姿は、唖然たる、弟子や男衆の前を、すぐに消えてしまった。
楽屋番のじいさんさえ、雪之丞の、簡単な変装を見やぶることが出来ないようであった。どこの女房が楽屋へ来ていたのかという表情で、ちらりと見たッきり、二度と目もくれない。
雪之丞は、ありあわせた、尻切れ草履を穿いたまま、寒風が、黒く吹いている通りへ出て、少し行って、辻かごで、日本橋近所まで来て、乗りものを捨てた。