Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
「無礼者!」
と、叫ぶ、荒くれた一声。
吃驚して見上げると、腰を屈めた供の男の前に、立ちはだかった一人の浪人――月代が伸びて、青白い四角な、長い顔、羊羮色になった、黒い着付けに、茶黒く汚れた、白博多の帯、剥げちょろの大小を、落し差しにした、この府内には、到るところにうようよしている、お定まりの、扶持離れのならず士だ。
供の男は、くどくど詫び入っている。
雪之丞は俯向いて、考えごとをして歩いていたので、何も気がつかなかったが、供の男が、通りすがりに、この素浪人の袖たもとに、思わず触れたものであったろう?
ならず士は、いきり立つ。
「武士たる者に、けがらわしい。見れば貴様は、河原者の供ではないか。身体に触れられて、その儘では措けぬ。不愍ながら、手打ちにするぞ」
「何分、日暮れまぐれの薄暗がり、あなたさまが横町から、お出になったに気がつきませず、お召物のどこぞに、触ったかも知れませぬが、それはこちらの不調法、どうぞ、お許し下さいませ」
と、供の男は、ひたすら詫びている。
「何に? 気がつかなかったと? その一言からして、無礼であろう。さては貴様は、この方が余儀ない次第で、尾羽打ち枯らしている故に、士がましゅう思わなんだというのだな。