Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
そうした秘薬を、何のつもりで与えようとするのだろう? ――雪之丞は、何となく、もうとっくに、相手が、こちらの望みをすっかり見抜いてしまっているような気がしてならぬのだ。
闇太郎は、平気でつづける。
「お前は、聴けば、武士の表芸の中でも随一番の、剣法ではだれにもひけをとらねえという――だが、世の中は、すべて表裏があるもので、裏の用意もなけりゃならねえ。忍術の方でもねむりの法は大切なものだ。まあ、用心のために、身につけていて、決して損はねえだろうよ――おれの細工物の中に入れたまま、たえず、からだをはなさぬがいいぜ」
「何にいたせ、すばらしい印籠に、かてて加えて、世界一の珍薬までいただいて、お礼の言葉もござりませぬ」
と、雪之丞は、素直におしいただいて、すぐに腰につける。
「では、もう、夜明けも近いこと、これで今夜はおいとまを戴きましょうか?」
「おお、この田圃はずれのかご屋まで、おれが見送って上げましょう。まあ、もう一ぱい引っかけて行きな」
名残りの茶わん酒を汲みかわして、いつか、露が深くなって、それが薄霜のようにも見える暁闇の浅草田圃を、二人はまた辿って行った。