Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいんですかえ? 松枝町の隠居ッて言えば、公方さまでも、おはばかりなさるってお人だ。その人の庫なんぞを荒したら、並大ていのことじゃあ済みませんぜ。遠島者か、首斬り台にすわらなけりゃあならねえ。そんなところを目がけずとも、本町通りへ行きゃあ、ずうっと、大きな金庫がならんでいるのに――」

「黙っておいでよ、むく犬」

と、ひびきの強い、張り切った女の声が、高飛車にいった。

「公方さまが、はばかったって、おれたちゃあ、ちっとも遠慮することはありゃあしねえよ――どうせ天下のお式目、御法度ばかり破って、今日びをくらしている渡世じゃあないか――おめえは知らず、このおれと来ては、どうせ首が、百あっても足りねえからだ――一度、見込んだら、屹度やる。万一、ほかの仲間に、この屋敷を先き駆けられちゃあ、つい鼻の先に棲んでいる、黒門町の、お初姐御のつらがつぶれてしまうじゃあないか?」

一〇

普請場の板囲いの、暗の影、低いながら、ピチピチとした鉄火な口調で、伴れの男を叱るように、こういい放った女――では、これが、当時、江戸で、男なら闇太郎、女ならお初と、並びうたわれている女賊なのだ。