Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

――三斎屋敷というから、どんなに用心がきびしいかと思ったら、これはまた、どこもかしこもあけっぱなしだ。くそ、おもしろくもねえ。世の中に、泥棒がいねえわけじゃあないんだよ。人を馬鹿にしてやがら!

お初は木蔭をはなれると、離れのようになっている別棟に近づいて行った。その一棟の横手に、ずっと立ち並んで、文庫ぐらがある。一戸前、二戸前、三戸前――、

彼女は、蔵は望まない――土蔵までを切ろうとは思わない――その三斎とやらの寝間にしのび込んで、机元から盗み出してやりたいのだ。

――その図久入の寝部屋というのは、一たい、どの見当なんだろう?

離れと、母家をつなぐ渡り廊下の近所まで来ると、そのとき、ふッと、何か物音がした。

ハッとして、立ち止まって、身を硬くする。じっと、暗闇に棒立ちになれば、大ていは物にまぎれて判らなくなるのが恒だ。

お初は、じっと突ッ立ったが、もう遅かったのかも知れない――

「どなた? そこなお方、どなた!」

離れの、手水場の、小窓から、白い顔がのぞいて、そうしたやさしい声が掛ったのだ。

お初は、その声が、あまりに優しくほのかだったので、覚えず、