Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
茶屋の女は言われるままに、又も雪之丞の楽屋をおとずれねばならなかった。
もうすっかり滝夜叉の出の支度をしていた雪之丞は、結び文を解いて一瞥したが、この刹那、彼の顔いろは、濃い舞台化粧の奥で、サーッと変ったように思われた。
「このお女中、この手紙を置いて帰られたか?」
と、彼は、いくらか震える唇でたずねるのだった。
「いいえ、まだ――多分、お返事を、おまち兼ねと思いますが――」
「では、はねたら、すぐに伺うゆえ、しばしおまちを――と、そう申して置いて下され」
出場だった。
稀世の女がたは、楽屋を出て行った。
お初は、女中から、二度目の手紙が、十分に奏功したということを聴くと、ニンヤリと、染めない歯をあらわして笑った。
「まあ――現金な」
そして、女中に、あらためて骨折りを包んでやった。
「太夫が来たなら、お酒の支度をして下さいよ」
女中が去ってしまうと、お初は、ジーッと、瞳を見据えるようにした。
――あの人は来るそうな。来ずにはいられぬわけさ。でも、怖わ面で口説くのはいやだねえ――おいらの気持をじきに判ってくれて、たった一度でも、やさしい言葉をかけてくれればいいけれど――このおいらは、敵にまわると、どんなことをするかわからないから――